知らない人に声をかけられる
去年予備校の冬期講習の授業終了時に知らない人から声をかけられた。と言っても声をかけられたのはボクではなく一緒にいた友達の方にである。余談だけどボクが知らない人から声をかけられることはまずない。たいていは友達といる時に友達の方に声がかかるだけである*1。
その人は「今録音したカセットテープを貸していただけませんか。」と(ボクの友達に)言った。その授業は日本史の授業であり、テープ録音が必須だったのだ*2。ボクの友達は言葉を濁しつつもきっぱりと断った。知らない人からいきなり声をかけられ図々しくもテープを貸してくれ、と言われれば普通は断るのかもしれない。しかしその人は困った顔をしていて切羽詰っているのは明らかだった。
ボクはすこし心苦しかった。非常に微妙な問題だけど受験の迫ったあの時期、カセットを忘れてしまった彼の焦った心境もわかる。「自分ならもしかしたら貸してしまったかもしれない、この場合貸すべきだったのか否か」別にボクの友達の態度が間違っていたのかどうかを問いたいのではない。むしろ貸さないというはっきりした姿勢にすこし感心したくらいだ。ただ今に至るまでそのことをおぼえているということはボクにとっては衝撃的な出来事だったのだろう。だからここに記すことにした。